いのうえ歌舞伎☆壊(Punk)【蜉蝣峠】2009年04月25日

■公演名:いのうえ歌舞伎☆壊(Punk)【蜉蝣峠】
■会場:梅田芸術劇場 メインホール
■入場回:18:00~
■座席:3階 1列 30番台
■上演時間:1幕 1時間20分/休憩20分/2幕 1時間35分

ん~~~……。なんて言うか……あんまりテンポがよくなかったなぁ……。
1幕は現在と過去の状況説明に終始した印象。サルキジが出て来てすぐ休憩て。
かと思えば、2幕は異常に速い展開。そんなに急いで伏線回収して、そんなに急いで終わらせなくても。とにかく、構成のバランスが良くないな~、と。
それと、物語にしっかりした骨がない感じで、全体的に散漫。

軍鶏コントは、それなりに面白かった。
最初、シャモリさんの中の人が誰なのかわからなくて、「???」ってなったけど、ある瞬間、「あぁ!」ってw あんなにべらべら関西弁でしゃべる人、劇団員さんぐらいしか思い付かなかったからさ。あの人、着ぐるんじゃう人だったのかw
と、軍鶏のことは置いといてw
着流しで飲んだくれの堤天晴、かっこよかった。ポニテの髪型(ヅラだけど)も似合ってたし、全体的に素敵オーラが。結局天晴が、何をどうしたかったのかとか、その辺りはいまいちわかりづらかったけど。
最後の、堤天晴と古田闇太郎のサシの勝負は、「よく考えたら、これって40代のおっさん2人が戦ってんのよねぇ」と、ふと冷静になってしまったので、かっこよさが半減してしまいました(´・ω・`) 次は、冷静にならずに見たいです。
高岡お泪もよかったな。ちょっと頭弱い子なのか? っていう雰囲気と、嘘でも古田闇太郎の存在に縋りたい切なさが。あれは永作さんでなくて正解だったかも。
梶原がめ吉は、安定してるなぁ~という感じ。けっこう新感線の舞台にはコンスタントに出てる人なので、新感線のツボもよく知ってるんじゃないかな。
若手二人は……もう少しなんとかできなかったのかなぁ。
勝地銀乃介は、ナニを取られちゃったってことと、最初の「石だ石だー! 石をぶつけろー!」が一番印象に残ってるし、木村サルキジに至っては、「じつは……」ってとこ以外、あんまり印象に残ってない。自分でもびっくりだよ。
古田闇太郎は、バカじゃないバカ。
闇太郎は「過去の記憶がない」っていう設定だったけど、私は、じつは記憶は失ってなくて、過去の自分(の所業)を消したいばかりに、記憶喪失(&バカ)のふりをしてたんじゃないだろうかと解釈してます。あまりにも過去の自分の所業が凄惨すぎて、それゆえに逃げ出して、全部リセットしたくなったんじゃないかと。
事情はどうあれ、闇太郎のしたことは決して赦されることではなくて、だからこそ、消えたい・消したいって考えるんじゃないかと思ったんですが。
橋本立派は、去年に引き続き、「器の小さい男」でw あんまり続くと、器の小さいイメージが付きそうだw 高田お寸とのコンビがよかったな。あと、パフュームねw
粟根先生は……w おマヌケというかお気楽というかw しかし、この人は立ち居振る舞いが本当に端正だな。

セットは好き。大仕掛けではないけど、シンプルで見やすかった。
演出は、1幕で語られた「大通り魔事件」が、2幕では違う角度から語られてる辺りはすごく面白かった。
でも、映像を多様しすぎ。大通り魔のとことか。こっちは舞台を見に行ってるんであって、映画を見たいんじゃないです。場面転換やらなにやらの関係で、幕に風景映すのは、それはそれでありだけど。
脚本は……ネットでかなり賛否両論あるのを踏まえて行きましたが、1回見た限りでは、私はあんまり好きじゃない。
ひとつひとつのセリフを、深読みしていいのか、さらっと流していいのか、判断がつきかねるあたりが、いかにもクドカンの本だな~という印象だけど。
しかし、人物描写をもっと丁寧にできないものかな?(もしかしてできないの?)
なんていうか、登場人物同士の繋がりが薄っぺらくて、銀とサルキジのことにしても、天晴と闇太郎のことにしても、「なんでこうなる!?」って思ってしまう。
堤天晴が、結局「何をしたかったのか」「ろまん街をどうしたかったのか」も、よくわからない。わからないにしても、「きっとこうなんだろうなぁ」って、考える余地があればいいんだけど、わからないものはわからないままに放置されてるというか。
「それがクドカンの脚本だ!」って言われれば、「まぁ、そうなんでしょうね」としか言えないけど、丁寧さに欠ける印象は否めない。
特に若手二人(Wりょう)は、もっと丁寧に描いてあげられたんじゃないのか。
銀が、「走ってるサルキジが好きだった」って、それならせめて、走ってるサルキジを好きになっていく過程の描写ぐらいはちゃんと入れてほしい。皆無ではないにせよ、ちょっとだけしかそういう描写はないし。
とにかく、キャストを生かしきれてない感じがするのが非常に残念。せっかく豪華な役者陣を集めたんだからさ、もっとこう……丁寧にお願いしたいです。
暗喩の解釈等は、人によってかなり違うんじゃないかと思うけど、まぁ、だいたいのところは「こんな感じか?」ってところまで理解できてればいいや、と思います。

クドカン、ドラマとか結構好きなのになぁ……。どうやら私、舞台になるとダメみたいだ。(メタマクはそこそこよかったけど)
IWGPみたいに原作があったり、タイガー&ドラゴンやメタマクみたいに下敷きになる題材があるほうが面白くできる人なんだろうなぁ、クドカンって。

……とか言いつつ、来週も行くんだよな、私。
2回観たら、少しは感想が変わるだろうか。
よけいにわけがわからなくなったらどうしよう……w