いのうえ meets シェイクスピア 「リチャード三世」2008年12月27日

■公演名:パルコ・プロデュース公演 いのうえ meets シェイクスピア 「リチャード三世」
■会場:シアターBRAVA!
■入場回:18:00~
■座席:2階 E列 30番台
■上演時間:1幕 約2時間/休憩20分/2幕 約1時間15分

……まず、長かった。1幕が。
リチャードがイングランド王になるまで(1~3幕)を一気に見せたかったんだろうけど、そこに行きつくまでが長いんだよ……。しかも、リチャードって、王になったら途端に失脚するんだもん。

しかし、事前に予習しといてホントによかった。
これ、予習してなかったら、冒頭のリチャードの独白と、リチャードがアンを籠絡するシーンと、「絶望して死んでしまえ!」と、最後の「馬をかせ!」しかわからないところだった。(←つまり、有名なシーンしか知らない)

ヘンリー六世の未亡人、呪いのマーガレット役の銀粉蝶さんが素晴らしかった。
マーガレットはかなり長ゼリフが多く、そのうちの99%ぐらいは呪いの言葉wなわけですが、淀みなく、抑揚のきいた声音でばんばん呪ってくれるのでw、じつに爽快でした。
ヨーク公夫人(リチャード達の母親)役の三田和代さんも本当によかったです。
実の息子達や孫達が、やはり実の息子の手で殺されていくのを目の当たりにし、自分が化け物を産み落としてしまったと苦悩する母親が、出陣するリチャードに最後に投げかける呪いの言葉は強烈でした。だって実の息子だもんな~。だからこそ、の呪いなんでしょうが。
エドワード四世妃、エリザベス役の久世星佳さんも、ヅカ男役出身特有の発声と言い回しが若干気にはなったけど、娘のエリザベスを巡るリチャードとのやりとりはすごく面白かった。
2幕の、マーガレット・ヨーク公夫人・エリザベス、3人のシーンは本当によかったです。
アンについては……何も言うまいorz うん、綺麗なんだよ。綺麗なんだけど、別に安田成美である必要がまったくないというか。他の王妃方に比べて、存在が弱い。

女性陣の迫力に比べて、男性陣が弱かったなぁ……。みんな噛みすぎ。
特にリチャードとバッキンガム公。
リチャードはたしかにセリフが多いんだけど、言葉が上滑り気味というか、自分の言葉になってない感じ。そこが残念だった。
ただ、それでもやっぱり、古田新太って人は魅力的な役者だなぁ、とは思う。あれだけ噛み噛みでも、観客を引きつける力があるんだから。
それから、私、途中までケイツビーとラトクリフの区別がなかなか付かなかった……orz 予習意味なし。

セット・衣装・演出に関しては、賛否両論あるとは思うけど、私は好きです。
衣装の60年代ポップの雰囲気や、随所でストーンズががんがん鳴ってるのも、いい感じだったし。
私の席、すごい上手側だったんですが、上手の階段のセットが一部見切れて、役者陣が階段を上り下りすると、人が消えたり現れたりして見えて、ちょっとそこが気持ち悪かったかな。私とは逆サイドの、すごい下手側で見た友人によると、上の通路が見えづらかったみたいです。
モニターの使い方は、あれでよかったんじゃないかな。
独白部分を字幕で出すことで、「独り言ですよ」っていうのを表現したり、そこにいない人の名前が出た時に、「この人のことですよ」ってわかるように顔写真を映したり、カメラ付きドアホンみたいに、訪ねてきた人がそこに映ったり。

もうちょっと、男性陣のセリフ回しの完成度が高ければなぁ……。とはいえ、なかなか見応えはあったので、まぁ、これはこれでありかな。
3ヶ月後に「Endless SHOCK」の劇中劇でちょっとだけリチャード三世を観ますが、比べてしまいそうだ。